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第二章 普陀山考 −−古代の東シナ海域における観音信仰−−
一、 普陀山
二、 慧蕚の故事
三、 海上守護の神、観音
四、 潮音洞 −−洞窟と観音信仰−−
五、 おわりに
一、 普陀山
中国東方の杭州湾の沖、大小の島々が蝟集する舟山群島に、その主島たる舟山島の東側にかくれるようにして普陀山(ふださん)がある。周囲二十二キロメートル余り、地図で北を上と見なすと熊が立ち上がったような形をしている。南北に細長く、山がちで岬が多く、海岸は険しい崖が続くが、砂浜にも恵まれている。東シナ海に面している。そこから東方にはもう島らしい島はなく、海上七、八百キロを隔てて屋久島・種子島や鹿児島がある。北東方向五、六百キロの先は、済州島や朝鮮半島の海岸だ。そうした地理上の位置は、歴史上、その島を含む舟山群島を、中国と海東諸国との海上交通の重要な拠点とした。
その普陀山は、中国仏教の四大名山の一つとされ、名のとおり観音の住処たる補陀落として著名である。現在も島には、観音のゆかりとされる幾多の自然の洞窟や奇岩怪石、また普済禅寺・法雨禅寺・慧済禅寺という三大寺をはじめとして三十余もの寺院が点在する。「南海勝境」「海天仏国」などと讃えられ、本土や台湾からの参拝客も多い。自然物や人工物に人間の営みも合わせて、全島が観音信仰一色といえる現況である。
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図1 普陀山観音洞庵遠望
(本写真は、島根県一畑薬師殿の御厚意により掲載させて頂きました)
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