2006年 仏教文化財十大ニュース

 今年の仏教文化財に関する主なニュースを纏めてみました。
 異論もあると思いますが・・・。

 

● 高松塚壁画の女性像に黒いしみ(2006年2月10日)

 奈良県明日香村の高松塚古墳の極彩色壁画のうち、「飛鳥美人」として知られる西 壁の女性像の目尻や肩に黒いしみができていたことがわかった。
  西壁の女性群像のうち、右から2人目の赤い上着を着た女性の右目尻に、直径約1mm、右肩に縦約2cm、横約3cmの黒いしみがあった。今月2日に撮影し た写真を検討中に発見した。以前の写真も調べたところ、写真集の出版に伴い平成14年に撮影した壁画の写真には写っていなかったが、昨年9月に撮影した写 真にはしみが既に写っており、平成14年から昨年9月までの間で、発生したと見られる。

● 琉球尚家資料など国宝、立石寺慈覚大師頭部、木棺など重文に(2006年3月17 日)

 文化審議会は、那覇市所有の「琉球国王尚家(しょうけ)関係資料」と、福岡県前原市の「平原方形周溝墓」の出土品を国宝に、山形市の立石寺所有「木造慈覚大師頭部、木棺」など47件を重要文化財に、それぞれ指定するように答申した。
主な彫刻関係指定品
▽木造慈覚大師頭部と木棺(山形市・立石寺)
▽木造顕智坐像(栃木県二宮町・専修寺)
▽厨子入木造大黒天立像(長野県軽井沢町・セゾン現代美術館)
▽ 木造不動明王坐像(滋賀県近江八幡市・伊崎寺)
▽ 木造鬼神像(京都市・北野天満宮)
▽木造諸尊仏龕(京都市・報恩寺)
▽厨子入木造阿弥陀如来及び両脇侍立像と厨子入木造千躰地蔵菩薩像(同・同)
▽木造童形神坐像(京都府八幡市・石清水八幡宮)
▽ 木造持国天増長天立像(奈良市・弘仁寺)

● 高松塚古墳のカビ発生は防護服未着用作業が原因(2006年4月13日)

 奈良県明日香村の高松塚古墳で、2001年2月に墳丘土の崩落防止工事をした際、文化庁のマニュアルに反し、工事関係者が防護服を着ないで作業していたことがわかった。
  高松塚古墳保存修理マニュアルによれば、古墳内の定期点検や工事などで古墳に入る際には、搬入物はすべてアルコールで滅菌し、体を防護服で覆って雑菌など の持ち込みを防ぐことを決めているにも係らず、作業者は、頻繁に出入りする必要があったためか防護服を着ておらず、一般の作業着のまま作業をしていた。

● 法隆寺の若草伽藍で新たな壁画片発見 (2006年6月28日)

 斑鳩町の法隆寺で、創建時の若草伽藍跡から樹木などを描いた7世紀初めの焼け焦げた壁画片や壁土、瓦などが大量に見つかった。
 現場は南大門につながる塀の内側で、若草伽藍の塔跡から約90m西。壁画片などは、推定幅1.5mほどの溝の中に、細かく割れた約270点の壁材が堆積(たいせき)していた。
 一緒に出土した軒丸瓦と軒平瓦は黒く焼けただれ、壁土や解けた銅が付着していた。文様から塔に葺かれていた可能性が強い。
 現場近くでは2004年に、同時期の焼けた壁画片が出土。670年に法隆寺が焼失したとの日本書紀の記述を裏付け、現在の伽藍が再建されたことを証明する資料と考えられている。

● 書籍や文化財、Wikipediaを横断検索できるサイトを公開(2006年7月28日)

 国立情報学研究所(NII)は、単語や文章をキーにして、書籍データベースや文化遺産データベース、Wikipediaなどを横断検索できる検索サービス「想−IMAGINE Book Search」
(http://imagine.bookmap.info/imagine)を公開した。
 文章をキーに検索できる検索エンジン「GETA」を活用した。複数のデータベースを横断的に検索でき、結果はソースごとに並べて表示する。検索結果をキーにして、絞り込み検索することもできる。

● 九州国立博物館で重文の仏像修理場公開(2006年8月29日)

 福岡県太宰府市の九州国立博物館で、国の重要文化財指定の仏像など木の修復作業を公開した。
今まで、国宝、重文などの貴重な文化財の修復は、財団法人美術院によって、主に京都と奈良で行われているが、今回、九州における修復の拠点として九博に修復作業室が設けられ、同じく美術院が修復事業に当たる。

● 湖東三山で初の本尊同時公開にぎわう(2006年9月18日)

 滋賀県愛荘町の金剛輪寺、甲良町の西明寺、東近江市の百済寺の湖東三山で、天台宗の開宗1200年を記念した秘仏の本尊の一斉公開が始まり、大勢の人が訪れた。
 百済寺は55年ぶりに十一面観世音菩薩像を、西明寺は52年ぶりに薬師瑠璃光如来像(重文)を、金剛輪寺は6年ぶりに聖観世音菩薩像(重文)をそれぞれ公開した。
 公開は10月27日まで行われる。

● バーミヤン遺跡で新たな壁画確認(2006年10月2日)

 アフガニスタン中部のバーミヤン遺跡で、7世紀前半の唐草模様とともに描かれた人間の上半身と猿の図柄の壁画が新たに確認された。
 今回の壁画は、旧政権タリバンが破壊した東西の大仏立像跡の間に位置し、今年7月の調査でペルシャ神話の霊獣「シームルグ」の壁画が確認された石窟「N窟」で見つかった。
  シームルグと同じく、天井の一部を区切る縦4cm、横46cmの梁を模した三角形の側面部分で確認された。左手を口元にかざす猿と、右手をかかげ猿と向き 合う人間の図柄が赤い背景に、錫(すず)を主成分とする金属箔で描かれていた。人面と猿はいずれも、下半身は唐草文に取り込まれてつながっていた。

● バーミヤン西方で13の仏教石窟を発見(2006年10月30日)

 アフガニスタン中部バーミヤン遺跡の西約100kmにあるヤカウランの南東近郊の渓谷で、8世紀ごろの仏教石窟群が新たに発見された。
 場所はヤカウランの南東約10kmにあるダライアリ渓谷の川岸2カ所で、8世紀ごろから勢力が強まったイスラム期の望楼跡が残る絶壁に掘られたクシャ・ゴラと、南東に約1キロの岩壁に掘られたムシュタックの各石窟。
 クシャ・ゴラでは少なくとも6つの石窟が確認され、うち1つは奥行き、幅がそれぞれ約4m、高さ約2.7m。内部の天井部分はかまぼこ形で、仏像を安置したとみられる仏龕(がん)もあった。
 ムシュタックでは7つの石窟が確認され、うち中央の1つでは仏龕がほぼ原形をとどめ、わずかに壁画の一部とみられる顔料も確認された。

● 唐招提寺金堂で上棟式(2006年11月2日)

 奈良市西の京の唐招提寺で、平成の大修理が進む金堂の上棟式と工事の無事を祈る法要が営まれた。
 2001年に始まった金堂の大修理は全体の約85%まで進み、上棟式では長さ約5mの棟木を引き上げ固定した。今後、屋根を葺く、本尊盧舎那仏坐像(国宝)などを納め、2009年6月ごろ完了予定。